TRACE—01

土地と水

呼吸する駐車場

住宅街の、かつて家が建っていた場所。
雨が降るとぬかるんでしまう駐車場を、
水と空気が動ける場所につくり直しました。

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雨が降ると、ぬかるむ。

施工前の駐車場

ここは、かつて家が建っていた場所。 家がなくなったあと、 駐車場として使われていました。

表面には真砂土が敷かれていましたが、 雨が降ると水がたまり、 足元はぬかるんでしまいます。

もう一度その上を固めるのではなく、 まず、この土地の中で 何が起きているのかを見ることから始めました。

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最初に描いたもの。

工事を始める前に描いた、最初のラフ。

駐車場でありながら、木や草が育ち、 水と空気が動く場所にできないか。

まだ形になる前の、 この仕事のはじまりです。

呼吸する駐車場をつくる前に描いた構想のラフスケッチ

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掘ってみる。

真砂土の下から現れたのは、 水分を含んだ粘土質の土。

粘土層を越えて、さらに深く穴を掘ると、 動けずにいた水が みるみる集まってきました。

真砂土の下の粘土質の層を掘り進めている様子
掘った穴に水が集まっている様子

水が動いた!動いた!

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水の道をつくる。

水と空気が上下にも動けるように、 溝を掘り、焼き杭を打つ。

地面の下に、 少しずつ水の道をつくっていきます。

雨をできるだけ早く外へ捨てるのではなく、 土の中へ入り、巡っていく余地を残します。

水と空気の通り道となる溝をつくっている様子
解体したコンクリート塀のコンガラ

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あるものを使う。

ちょうど解体したコンクリート塀も、 捨てずに次の資材へ。

石やコンガラなど、 そこにあるものを活かしながら、 溝や下地をつくります。

新しいものだけでつくるのではなく、 ここにあったものが、 またこの場所の一部になります。

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石と、落ち葉。

下地ができたら、 石をひとつずつ小端立てにして並べます。

石の隙間には、落ち葉を詰める。 見えなくなる地面の下にも、 水と空気、生きものが動ける余地を残します。

車の重さを受けながらも、 地面を一枚の硬い面にしてしまわない。 水と空気が動ける隙間を残します。

石を小端立てにして敷き詰めている駐車場の下地
石の隙間に落ち葉を詰めている様子

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何日も、石を叩く。

一般的な工法なら、 2〜3日で終わる広さ。

石をひとつずつ並べ、叩きながら、 何日も作業は続きました。

「ここまで手間をかける意味は何だろう」
「最後には見えなくなるんだけど」

手間をかけることと、仕事としての効率。
自分たちが大切にしたいことと、 現実とのあいだで、考え続けました。

石を使った下地づくりを続ける作業風景

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そうだ、チームだ。

手間のかかる仕事なら、 ひとりで抱え込む必要はない。

いつの間にか、 この現場にはいろいろな人が 出入りするようになっていました。

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みんなでつくる。

施主さん夫婦も、助っ人も、 まのいいガールズも。

春休みには子どもたちも加わって、 いつの間にか賑やかな現場になりました。

石を運んだり、落ち葉を詰めたり。 みんなで手を動かしながら、 少しずつつくっていきました。

子どもたちも加わって作業している様子
一緒に石を扱いながら作業している様子

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呼吸する駐車場ができた。

完成した呼吸する駐車場

表面を瓦砕石で仕上げると、 ここまでやってきた仕事のほとんどは、 地面の下に隠れてしまいます。

けれどその下には、 水の道があり、 石と落ち葉の隙間があり、 水と空気が動ける場所があります。

完成して見えなくなったあとも、 地面の中では、 この場所の営みが続いていきます。

住宅街の中で、わずか一部でもこうして呼吸がある、
いとなみがある、命がある場所を点々と作っていけたら。
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