TRACE—03
土地と水
鳥取東照宮
倒木が目立つようになった鳥取東照宮。
駐車場の山際で、
土の中の環境に手を入れました。
01
山(土地)の安定。
鳥取東照宮では、近年、倒木が目立つようになっていました。
施工したのは、神社の駐車場の山側。 地面は固く締まり、水が染み込みにくい状態でした。
目的は、「山(土地)の安定」。
斜面を流れる雨水や土を受け止めること。 固くなった地面の下に、 水と空気が動ける余地をつくること。
土の中の環境が少しでも変われば、と考え、 作業を始めました。

02

埋もれていたU字溝。
山側の際を掘っていくと、 土の中から古いU字溝が現れました。
いつからそこにあったのか。 U字溝は完全に埋没し、 本来の役割を果たせない状態になっていました。
その下には路盤も敷き詰められていました。 一度U字溝を掘り出し、 路盤を撤去するところから始めます。
掘り進めると、 地中からはたくさんのゴミも出てきました。

03
U字溝を、逆さに戻す。
掘り出したU字溝は捨てずに、 もう一度この場所で使います。
路盤を取り除き、 藁を絡めた焼き杭を打つ。 古瓦を割って小端立てにし、 落ち葉や枯枝を敷き詰める。
その上から、 U字溝を通常とは反対向きに伏せて戻します。
水を集めて一方向へ流すためではなく、 U字溝の内側に空洞を残し、 地中に水と空気が動ける余地をつくるための施工です。



04

斜面に、段をつくる。
斜面では雨水も土も表面を流れていきやすいため、 段切りをして、いったん受け止める場所をつくります。
段切りしたところには朽ちた竹を据え、 生木の杭を打ち込みました。
この杭が、 次に組んでいく「しがら」の受けになります。
05
しがらを組む。
杭の間に剪定した枝を絡ませながら、 「しがら」を組んでいきます。
枝は一本一本、太さも曲がり方も違います。 それぞれの形を見ながら、 編むように組み合わせていく。
土木の現場には、どうしても力仕事が多くなります。 けれど、しがら組みは少し違いました。
力の強さよりも、枝の形を見て、どう組み合わせるか。 声をかけて集まってくれた人たちも、 それぞれに枝を手に取り、しがらを組んでいきました。
そうしてしっかり組み上がったしがらは、 少しくらい力を加えても、 びくともしないほど頑丈になります。
けれど、この頑丈さがずっと続くことを 目指しているわけではありません。
枝は時間とともに、ゆっくりと朽ちていきます。 その間、背後の土を受け止めながら植物が育ち、 やがて根がその役割を引き継いでいく。
しがらが朽ちていくことも、 この施工の一部です。


06
三日間の作業を終えて。

逆U字溝、段切り、しがら組み。 三日間かけて、駐車場の環境改善と 土地の安定を目指した施工を行いました。
地面の下に手を入れる仕事なので、 完成したあとに見える変化は大きくありません。
ここから先は、 この場所で起きていく変化を見ていきます。

HALF A YEAR LATER
半年後。


施工から半年後
逆U字溝を施したあたりからは、 たくさんのケヤキの実生が芽を出していました。
しがらも、少しずつ朽ち始めていました。
ケヤキの発芽がこの施工によるものだと 言い切ることはできません。 既存の木々や、地面の下で起きていることについても、 施工前との違いをはっきり確認することはできません。
ただ、施工した場所で起きている変化のひとつとして、 これからも見ていきたいと思っています。
土の中のこと。
土の中で、水がどう動いているのか。
空気がどこまで届いているのか。
木々の根がどう伸びていくのか。
そのすべてを目で確認することはできません。
今回の施工も、 これをすれば土地が必ず良くなる、 という「正解」を示すものではありません。
土地を見て、今ある状態を考えて、 できることを試してみる。
そして、その後をまた見る。
すぐには答えの出ない変化も含めて、 この場所をこれからも見ていきます。
作業に力を貸してくれた人たち
コツコツ / とくさ屋、 そしてたくさんの助っ人のみなさん。
ありがとうございました。
